「え?」
「もし、JECみたいに大きくなっちゃったら、僕が唯川さんを毎日案内します」
「え……っと……」
『でも、そんな大きくなるわけないよ』と言って笑い返そうと思っていた。
だけど、あまりにも三浦くんの瞳が真剣で、真っ直ぐこちらを見つめていた。だから、私にはそれができなかった。
「あ……ありがとう」
助かる、と照れ笑い。
何となく気まずさを感じた私は、左側の耳に髪をかけなおし、少し俯いた。
「……あ、そういえば」
「なに?」
「今日JECに行った時、あの人……青柳さんが唯川さんのこと探してたみたいで」
「え……」
「宇野さんに『唯川さんって今日はいらっしゃらないんですか?』って聞いてきたみたいです」
「そう、なんだ……」
どくん、と心臓が波を打った。
樹が何故私を探したのかは分からないけれど、私を探してくれたという事実が嬉しかった。嬉しくて、ドキドキしている。

