Polaris


お酒と適当なつまみを頼み、二人で乾杯する。それから、私と三浦くんは今行っている企画の話を始めた。


「毎日バタバタしてるけど、すごく楽しいよね」

「はい。この企画がうまくいって、少しでもナチュラルファクトリーの名前を沢山の人に知ってもらえるといいなぁーって思います」

「そうだね。本当に、うまくいくといいなぁ……」

「名が知られて、有名になって、たくさん本が売れるようになったら、あのオフィスを綺麗にして欲しいです」


ついでに会社全体もJEC本部みたいに、と笑った三浦くんに私もつられて笑った。


「あ、でも、あんなに大きくなっちゃったら私通勤できなくなっちゃうな。毎日迷っちゃう」


あはは、と適度なお酒が入っている私は、いつもよりオーバーに笑った。

でも、本当にナチュラルファクトリーがあんなに大きくなっちゃったら、毎日困るなあ……なんて、真剣に思ったけれど、まぁ、そんな事にはならないだろう。

あんな大手とは違うし、それに、小さいけれど、ナチュラルファクトリーにはナチュラルファクトリーの良さがある。

大きな会社も素敵だけれど、私は今のままの会社であってほしいと思う。

確かに、ちょっと汚かったりもするけれど……毎日迷いながら出勤するのは御免だ。


「……僕が、毎日案内します」