私は、三浦くんと一緒に会社を出ると、どこで食事をするかを話し合いながら歩き出した。
三浦くんがいくつかイタリアンの食べれるお店の候補を出してくれて、その候補を順に訪ねたけれど、運悪くどの店も満席だった。
「うう……すみません、唯川さん」
「いいよいいよ。全然気にしないで。私、こういう所も好きだよ」
「でも、僕から誘ったし、ちゃんとかっこよく決めたかったです……」
結局、食事をするお店は駅付近の焼き鳥を主に売り出す居酒屋になった。
私達二人はそのカウンターに横に並んで座ったのだけれど、隣の三浦くんはどんよりとしたオーラを放っている。
三浦くんはかっこよく決めたかったと言うけれど、私には居酒屋でも十分だ。もちろんイタリアンもお洒落で好きだけれど、こういう居酒屋も居心地がいい。
そんなに気にすることないのになぁ……。そう思うけれど、それでも私なんかの前でかっこよく見せてくれようとするのは単純に嬉しいかも。
「あはは、十分だよ。それに、こういう居酒屋の方がゆっくり話せるじゃない?」
「そう……ですか?」
「うん、そうそう。もうさせっかく来たんだしぱーっと飲んじゃおう? ね? 私も今飲みたい気分なの」
さあ、どれにしようかな。なんて呟きながら明るく振る舞う私を見て、三浦くんが隣から「何かあったんですか?」と一言。

