「デスクに置いてあったやつ枯れかけてたから窓際に移動させたんだけど……そろそろ寿命かなと思って。だから、これあげる」
花、好きなんでしょ? と言って私の手のひらに花の苗をのせた宮部さん。
ああ、こうして自分のことを見てくれている人もいるんだ。
そう思うと、とても嬉しくて、感動して、私の目は少しだけ潤んでしまった。
「……ありがとうございます。大切に育てます」
「うん。宜しく頼むよ」
「はい」
少しだけ微笑んで去って行った宮部さんの背中を見送り、私は花の苗のポットに貼られているシールを確認した。
〝ホタルブクロ〟
そう、貼られたシールに表示されている花の名前。
柄でもなく花や花言葉を調べたりすることが好きな私は、その名前を見て口元が緩んでしまった。
────その理由は。
宮部さんは知っていたのか知らなかったのか、その辺はよく分からないけれど……ホタルブクロの花言葉は〝正義〟だから。

