「今日はどうして………あ。ああ、あの二人の穴埋めか何かってところか」
「あ……はい。そんなところです」
見事に私の存在理由を当てて見せた宮部さんに私は苦笑いを浮かべる。
しかし、今出社してきたばかりであろう宮部さんがどうして芹沢さんと今井さんの欠勤を知っているのだろうか。
そう思っていた私の疑問を察したのか、今井さん達のデスクを見た宮部さんが口を開いた。
「昨日さ、あの二人が明日サボって海でも行こうかって話してるの聞いちゃったんだよね」
そんな私の疑問を見透かしたのか、宮部さんがそう自然に答えた。
「……そうなんですね」
やはりあの二人はサボってるのか。
私の予感は確信へと変わり、これにより、腹が立つ……というよりは、もう既にあの二人に呆れてきてしまった。
「……あ、これ。あげる。唯川さん帰って来ててちょうど良かった」
「へ……え? これ……」
気にも留めていなかったけれど、宮部さんがずっと手の平に乗せていた小さな花の苗。突然宮部さんがそれを差し出してきたものだから私はとても驚いた。

