「いやぁ、企画参加で忙しいだろうにごめんねぇ」
「いえいえ。私、元々こっち側ですし……この人数では大変だと思いますし」
「でも、ほんと助かるよぉ」
ほんの少し……いや、限りなくバーコードに近い薄い髪が気になるこの上司。
いつもは芹沢さんや今井さん側について私へ冷たい視線を注いでいるというのに、今日だけは違った。
「だってねぇ。まさか突然休むなんて思わないからさぁ」
そう言って、上司が視線を向けた先にあるのは芹沢さんと今井さんのデスク。そこには、誰も座っていない。
「そうですね」
二人で仕事をサボって、どこか遊びにでも行ってるのでは?
そう言ってやりたかったけれど、私は一旦これを飲み込み無難な返事をした。
「久しぶりに今日は一日宜しくね」
「はい」
私は、ここ最近受注データを打ち込むという本来の部署での仕事では無く、大きな企画にヘルプとして参加し続けていたけれど今日はこの通り、突然の欠員の穴埋めとして戻ってきた。

