────翌日。
「唯川、お前三浦と何かあっただろ」
「えっ⁉︎ な……なんでですか」
今日もJEC本部へと足を運んでいた私達。
いつもは並んで歩いているはずの三浦くんと私が別々に歩いていることを不思議に思ったのか、プロジェクトリーダーである宇野さんが私にそう問いかけてきた。
「そのリアクションは図星だな」
「な」
「まぁ、大体想像はつくけど……私情は仕事に持ち込むなよ?」
「すみません……」
「はは、分かればよろしい。まぁ、うまくやれよ。それじゃあ、俺はこっちに用があるから先に会議室行ってろ」
そう言い残した宇野さんは、JEC社内をまるで我が会社のようにスムーズに歩いていく。
迷わないのかな、なんて疑問に思いながら宇野さんの背中を見送り、私も目的地へと急いだ。
コツコツとヒールの音を鳴らして、会議室へと向かっている私。
でも、それはどうやら向かっている〝つもり〟だったらしく、私は何度か同じ景色の中を歩いていた。
……要するに、私は何度も同じ場所をぐるぐると歩き続けてたということ。
これは、まずい。
いつもは三浦くんが居たからこんなことなかったけど……これじゃあ会議室に辿り着けない。

