28年間生きてきて、こんなに真っ直ぐ好意を伝えられるのは本当に初めてで、こんなに真っ直ぐ伝えられると、例え好きな人でなくても少なからずドキドキしてしまう。

でも、それでも三浦くんには私のことは諦めて欲しかったというのが本当のところ。


「好きな人がいたままでもいい。心の片隅に残ったままでもいい。そのままでいいんで、一度だけ僕と向き合ってもらえませんか?」

「み、三浦くん……」

「僕のところに来てください。きっと、その人のことを忘れさせます」


三浦くんが、真っ直ぐ、透き通った瞳で私を見る。あまりにも真っ直ぐすぎる瞳に、私は逃げられないと思った。


確かに三浦くんといると楽ではあるし、すごく良い人だし、優しいし……もしかしたらイツキのことを忘れられるのかもしれない。

でも、こんな気持ちのまま三浦くんの方へ行くのは、まるで三浦くんの気持ちを利用しているようでどうしても嫌だ。そんなこと……出来るわけない。


どう答えるのがベストなのか、私はひたすら頭を回転させて考えていた。すると。


「ははは。会社前で何やってるかと思えば、愛の告白タイムですか」


「えっ、あ……」

「さっきの……」


突然側から声が聞こえたような気がして、その声をした方を向くと、そこにはさっきまで社内にいたはずの青柳さんが壁にもたれるようにして立っていた。