すると、棗が言う。 『所長は過去の呪縛から解き放たれた。 そして、自らが消えることによって、【虚像】の世界を崩壊しようとしている。』 何のことか分からず、首を傾げていると、棗が意地悪く言った。 『やっぱり亜理紗は鈍感って言うか何て言うか? 【虚像】の世界は所長の力で成り立っていた。 所長が自らの意思で消えたならば、この世界は崩壊し始める。』 「と言うことは、私が生きる世界は1つになる。」 『そうだ。だから、俺は消える。【虚像】の世界のものは全て消えちまうからな。』