お金持ちなんて大嫌い!

「お待たせ……」


桐谷の前に立つ私は、さっきの私とは別人になっていた。


綺麗なピンク色のドレスに、華やかな化粧と髪型。


鏡を見てびっくりした。


たぶん桐谷もそう思っているのか、フリーズして動かなくなってる。


「桐谷…?」


「まっ、ま、ブスのお前にしてはまずまずな出来だな」


そう言いながら、私から視線を外す。


そういう桐谷だって、タキシードなんか着て、髪はオールバック。

いつものチャラチャラした雰囲気とは全然違う。


「何それ……ってかこんなカッコさせてどうするつもりなの?」


「あぁ、パーティーに行く」


「え?パーティーって何?ってかなんで私が!?」


「うるせぇ。ごちゃごちゃ言ってんじゃねーよ。行くぞ」


そう言って、桐谷は私の腕をまた乱暴に掴むから。


「わっっ、ちょっ、ちょっと待ってー!!!!」