「ため息ばかりついてると幸せが逃げちゃうよ?」


前の席からこちらを向いて香菜は私に声をかけた。


「何かあった?」


そう、優しく問いかけてくれる香菜に全てを話したくなったけど。


「ううん、なんでもない。大丈夫だから」


「……そう?」


そしてそれ以上は香菜も突っ込んで聞いてくることはなかった。


香菜、ごめんね。


きちんと話せるようになったら話すから。


もう少し待っててね。