こんなヤツの前で弱いところを見せるなんてコイツの思うツボだ。


そう思った私は痛みに耐え、無理に立ち上がる。


すると、何やら鼻から生暖かいものが流れているのを感じた。


「結衣子、はな…」


香菜にそう言われ、その部分を触ってみる。


その触った手を見ると、真っ赤なものがついていた。


「まぁ、鼻血だなんて、なんてお下品なの?」


そうやって笑う辻峰に釣られ、周りもニタニタ笑い始めた。


「九条くんに話しかけられて浮かれてバチが当たったんじゃありませんの?」


鈴峰は高笑いとともに言った。


なるほど。

コイツらいつも私のことなんて無視なくせに、今日は妙に絡んでくるなと思ってたけど。

あまり女子とは話さない九条が私に話しかけたのを見たからか。

だからこんなことをしてきたのか。


(ありえない。)


また九条に嫌なこと言われたのを思い出したじゃないか。