「やだ!恥ずかしいっ桐谷!降ろして〜!」


「うっせ。ギャーギャー言うな」


そう言いながら桐谷は保健室までの歩みを止めない。


「私、ケガなんてしてないし!ほら!大丈夫だから!だから、ね?降ろして?」


「バカ。ケガしてんだろ」


「いや、してないよ!ほら、ビンボー人は体だけは丈夫だから!」


「だったら…どうして?」


「え?」


「どうして、泣きそうな顔してんだよ」


「え……」


「どうしてそんな泣きそうな顔してんの」


桐谷……気づいてたんだ。


それを言われると私は何も反論できなくなった。


ケガが痛かったんじゃないよ。


そうじゃなくて。


心が、痛いって。


私の中の声が


そう、叫んでたんだ。