私たちが噂になってることについて、
タケルの私も触れず…
この前タケルが告白されていたことにも、
触れず…
いつも通りに接してくるタケルは、
どんな気持ちでいるのだろう。
「だろ、ほんと驚きだったよあれは。
…湊?その手どうした?」
あっ…空手の板割り…今になって赤紫色に腫れて気持ち悪い手の色になっている。
見た目よりは痛くないんだけど…。
「まさか、誰かにやられたのか??」
「いやいやいや!!違う違う、これはね、
この前空手のイベント、ほら、板割り大会やってて、それに参加して腫れちゃった。 あっでも痛くないから!!」
「は?湊、あの大会に参加したって…
男しかいなかったろ?」
確かにそう言われてみれば、
女子はいなかったな…。
「まったく。湊はほっとくとすぐにわけわかんないことし始めるからほっとけねぇよなー…。はぁ。女の子なんだから、手、大切にしろよなー」
…
変わらないな。
タケルは。
タケルとの初デートの日、
近くのプラネタリウムを見に行ったことがあった。
プラネタリウムを見終えて、
クレープ屋さんに行こうとした時、
慣れないヒールに靴擦れをして、
でもそれを必死に隠して歩いてたのに、
タケルは気が付いてくれて、
絆創膏を貼ってくれたことがあった。
慣れないヒールを履いてくる私って、
デート頑張ってる!って感じ伝わりすぎて、すっごく恥ずかしかったけど、
タケルはそんな私に笑顔で、
「俺も実は新しい靴で、今日頑張ってみた。」
って…
忘れられない、
私の大切な思い出。
私はタケルが大好きで…
あの時に戻れるなら戻りたいって思うぐらい、大好きだった。

