君の感情は世界を滅ぼす


《10年前》

「ほれほれ、甘いぞ奏人?」

___スパンっ!

「うわぁ⁈」

___ドスンっ


少年は老人に足元を払われ、尻餅を着く。


「いてて…ジイちゃん強すぎ……。」

「そりゃあ、この天宮流を率いる長だからのぅ。」


老人は笑いながら少し長い顎の髭を撫でる。


「俺、ジイちゃんの跡継げる気がしないよ……。」

「珍しく弱気だのぅ、奏人?」


少年が立ち上がり、埃を払いながら呟く。


「勝てるどころか、勝てる糸口すら掴めない……答えが見当たらないんだ。」


それを聞いた老人は大きな声で笑い始めた。


「はっはっはっはっ!!」

「ま、真面目なんだぞこっちは!」

「わかっとるわ。だからこそ真面目すぎるんじゃよ。」

「真面目で悪かったな!!」

「まぁ、そういじけるなや。……答えは『つくり』出せばいいんじゃよ。」

「『つくり』出す?」


少年は眉をひそめ、老人を見つめる。


「そう。奏人の答えを『つくれ』ばいい。結果はどうあれ、どれも間違ってはいない……。算数とは違うんじゃぞ?」

「俺の答えを『つくる』……。」

「何事も『そうぞう』し、『つくり』上げればいい。答えも、勝ち方もな。」


老人は和かに笑って、少年の頭を優しく撫でていた。