レンタル彼氏


「この店のオーナーの、ナナセリョウです。

 こちらに必要事項を記入して、レンタル彼氏をお選びください。」


そういって手渡されたのは、星のストラップがついたボールペンと1枚の紙。

あたしは、どういうこと?と問いただしたかったが、
後から来たお客さんの対応に追われるナナセさんにはさすがに聞きづらかった。

というか、ナナセさんっていうんだ。
さっきの彼の瞳に輝く星のような光を思い出し、
ナナセって、漢字は七星かな、なんてことを勝手に思った。

店内には店員は七星さん以外見当たらなかった。
あたしはなんとかなるさ、と思い直し、コップが置かれた自分の席に着いて
紙に必要事項を記入していく。

氏名、神崎小夏
年齢、26歳、独身、彼氏ナシ。

嘘をつく気にはなれず、ありのままに書き進めていく。
本当なら今頃、フラれたショックで立ち直れないはずなのに、
書いていくうちにわくわくしてきて
なんだかあたしがあたしじゃないみたいに思えた。