「ごめんね、杏菜。あのね」



梨花が言った。梨花が言うことは、あの日、聖也が来て話した。


聖也といられて
楽しくて。
でも渡すとなるとパニック…



「これね。私と杏菜から。持って帰ってよ!
何でもないからね」



って、関係のない私を巻き込むなんて。
…何て言うか、私の名前を出す梨花って?




「ここ、俺がいる場所じゃないよな?」



近くにいた聖也が私と梨花の方へ来て、
私たちは笑った。



「なぁ、高田いいのか?」


「うん…いいよ。うん、うん。私と梨花から」