「髙田、ありがとう」



幸せだった。




細川クンに抱きしめられた。
うん。少しの間だけ抱きしめられた。





「またな、学校でな」



細川クンはいつも通りの爽やかさを残し、私から背を向けた。



「いやだよ。泣かないで」



マフラーには細川クンの優しさが、残ったままだ。



涙も、恋しさもそのままに。





「細川クン」



細川クンを呼んでも、細川クンは戻ることはない。