その日の夜。 「だって本当に、リモコンの位置が違うのよ!このクッションだって、私が買い物に出る前は、ソファの上にあったのに…」 「分かった、分かったから、とりあえず、メシ」 「なにが分かったの!じゃあ、誰がこの部屋に出入りできるっていうの!」 「気のせいだよ。リモコンの位置なんて。君の思い違いじゃないのか?」 すると、美都は叫んだ。 「私の被害妄想だって言うの!?」 総之助は脱いだブレザーを片手に持ったまま、美都を見る。