総長様、プリンセス修行始めました!


ーポンッ。


「……………うおっ!?」


俯いたあたしの頭に、朔は手を乗せた。女の子あるまじき声を上げて朔を見上げる。



「大丈夫ですよ…。他のどんな女の子より、菜智さんは特別だと思います」



朔の言葉に、あたしは首を横に振った。



「いや……あいつはあたしなんか見てない」


ならどうして…、紀美代さんの所に残った。


あたしが部屋を出る時、どうして…引き止めてくれなかった…?



「菜…智さん………」


朔は驚いたような困ったような表情で、あたしを見つめる。


何をそんなに驚いているんだ?


あたしの顔に何か……そう思って気付いた。


だんだん曇る視界、風が吹くと感じる冷たさ。


またこぼれ落ちる…。


「……………涙……」


泣いてたのか…。自分でも気付かない間に、あたしは泣くほど…。