「茜色だ………」
優は珍しく、目を輝かせて空を見つめている。
「青空もいいけど、暮れてく夕空もいいもんだぞ」
リムジンから見る空よりも、自分の目で直接見たほうが、断然良いに決まってる。
「おーい、そこのカップルさん!クレープはどうかなー?」
声が聞こえた方を見ると、クレープ屋さんがこっちに手を振っている。
「菜智、あれ何??」
優は興味津々にクレープ屋さんを見つめる。
「クレープだよ、待ってろ」
そう言って、クレープを買うと、優に渡すために差し出す。
「このまま、食べるの?」
「あぁ、御曹司には毒味係りが必要か?」
あたしはガブッと一口食べ、そのまま優に差し出した。
「毒味って……クックク…菜智、俺はそこは心配してないよ。ただ、スプーンとか、フォークとかはなく、そのままかぶりつく事に驚いたんだよ」
「あぁ?そうなのか??」
面白そうに笑う優に、あたしは首を傾げる。


