「優は、高校生なんだから、それらしくしてろ。別に、あたしの前では、大人っぽくしなくていい」
「……菜智……」
「あ!でも、変態は治せ。いつか、察に捕まんぞ」
あたしは、庭園にあぐらをかいて座り、伸びる。そんなあたしを、優はただ見つめた。
「なぁ、聞いて……」
「菜智……」
返答が無いことを不思議に思い、優を振り返ろうとした瞬間、後ろから優に抱き締められた。
な、なんだ!?なんで、こんなシチュエーションになった!?
心の中でパニックを起こしながら、優の出方を待つ。
「俺に、天王寺財閥の跡取りらしくあれって言う奴はいっぱいいたけど……。子供でいろって、言われたのは初めてだ」
優……。
こいつ、いったいどんな思いで生活してきたんだ。
家だって、あんなに広い豪邸なのに、優以外に住んでるのは、住み込みの家政婦だけだ。


