ーキィィィ。
「おいおいおい」
たどり着いたのは、まさに、屋上に広がる庭園。薔薇やら何やらの花が咲いている、屋上とは思えない光景だった。
「改めて思うけど、お前の住む世界は、あたしにとっては異世界だな」
そのうち、スライムとか、ドラゴンとか出てきそうな勢いだぞ、これ。
「ここで、お茶会とかやるんだよ」
「不思議の国か、ここは。時計持ったウサギとかいないだろうな」
そう言って、キョロキョロするあたしに、優は吹き出した。
「プッ、ククッ……菜智って本当に面白いね」
「それ、嬉しくないからな」
また、腹を抱えて笑う優に、あたしもつられて笑う。
「そうやって、本当に面白い!って思った時に笑えよな」
「え……?」
「作ってばっかいると、いつか本当の自分が分からなくなる。だから、もっと自分に素直になれ!」
そう言って笑うと、優は驚いたように目を見開き、固まった。


