「菜智、そろそろ授業始まるよ?」
ズカズカと優の手を引いて歩くあたしに、優は困惑したように声をかけてくる。
「優」
あたしは足を止め、優に向き直った。
「お前、学校楽しいか?」
「え、学校??」
首をかしげる優を、真剣な瞳で見つめた。
「学校は、交流の場だからね、楽しいとか、そういうのは、感じた事はないね」
そんな、普通な顔して……。
「学校は、仕事の延長みたいな場所じゃないだろ。ダチとかとバカみたいに騒いだり、もっと楽しい場所のはずなんだよ」
なんであたし、こんな真剣に語ってんだろう。でも、優のいる世界は、あまりにも悲しすぎる。


