いなくなろうとした霧夜を追いかけると、霧夜はあたしたち
に笑みを向けた。
「菜智、天王寺 優。お前達は本当に俺の世界を壊してくれたな」
霧夜は嬉しさと悲しさを交えた笑みを浮かべた。
「あたしは何もしてない。それに、お前は全部分かっててこうなるよに仕向けたんだろ」
「まあな、でも…出来るかどうかは、懸けだった」
家族を失うって分かっててこの道を選ぶのは、辛かったはずなのに…。
「霧夜はこれからどうするの?」
「今の東宮を立て直そうと、思ってる」
すると、霧夜は深々と頭を下げた。
「今回は、東宮が酷いことをした。ただ、東宮を潰すのは見逃してくれないか。東宮の下には、多くの従業員もいる」
霧夜……。その霧夜の姿に、胸を打たれた。
プライドとか、保身よりも、コイツはたくさんの人の人生の為に頭を下げるんだな。
「霧夜なら、大丈夫だな」
そう言って、優は霧夜に手を差し出した。それを、霧夜は取った。
「天王寺家も力を貸すよ。これからよろしくね」
「あぁ、恩に着る」
そう言って二人は笑った。
「あぁ、でも、菜智は俺のだから。手…出すなよ?」
はぁ!?優の奴、なんて恥ずかしい事を!!
「悔しいが、菜智はお前が良いらしい。本当に惜しいが……潔く諦める」
そう言って霧夜はあたしを見つめた。
「ありがとう、俺を変えた唯一の女…」
「霧夜……」
あたしは霧夜に笑みを返した。
「そこ!見つめ合うの禁止!!」
すると、すぐさま優が邪魔してくる。そんな優に、あたしと霧夜は笑うのだった。


