優side

「……ちゅうわけで、婚約パーティーが明日になった」


幾の言葉に、俺たちは耳を疑った。


「あぁ!?やべーだろそれ!!」

「菜智さん!!すぐに助けに…」



琢磨と佳奈の声が、遠くに聞こえる。


「東宮の事情か……」


おそらく、東宮は菜智を早く手に入れたい理由が出来たって事だ。



菜智の両親が、警視庁捜査一家だって事は、幾から聞いた。それが狙いか。


「とりあえず、今は明日に向けて体勢を整えるしかない」


俺の言葉に、二人とその仲間達が話を止めた。


「それにしても、本当に腹が立つね、東宮は…」

バキッ

握りしめていた携帯電話から、危ない音が鳴った。



「おっかねーな…優。変な音したぞ?」


携帯電話を見つめると、画面にひびが入っていた。


「つい、ね。それより、話を元に戻すけど、パーティー会場に待機して、幾の指示で突入する、でいいね?」


「はいよ!でも菜智がもし本当に危ない目に合いそうになったら……命令無視して入るからな」


琢磨の言葉に俺も頷く。


「もちろん、それなら俺も命令は無視する」


菜智を無理矢理にでも、奪うよ。決戦は明日…俺から一番大事な人を奪った事、後悔させてやる。



出来る事は全てやった…。菜智、待ってて……。