ドクン…ドクン…
やばいだろう、この状況は…。頼む!!神様、仏様!!あたしに気づくなーっ!!
「おい…誰だ、こんなに書類を散らばしたのは…」
男の声だ…。
ぎゃーっ!ごめんなさい!!あたしです!!
「すぐに片させます、光様(コウ)……」
この声は、おそらく東宮家の執事かなんかだろう。
光……か…。聞いた事あるな。
あぁ!東宮 光(トウグウコウ)、東宮家の長男で、婚約したっていう…次期当主か!!
なら…この部屋に、不正の証拠があってもおかしくないな。
今の東宮財閥は、東宮 繁信と東宮 光によって動いている。あたしってば、運が良いのか悪いのか…。
苦笑いを浮かべながら、二人の様子を窺う。
こいつらが出て行ったら、すぐにでも物色するか。
「知紗(チサ)、この前の件はどうなってる」
知沙?あぁ、執事の名前か??それに、この前の件ってなんの話だ??
聞き耳を立てて、二人の話を盗み聞く。
「はい、天王寺家はまだ動いていないようでして…」
天王寺家!?優達に何かあったのか??
「天王寺の奴らは何をしている。条件を提示しただろう?権利さえ奪えば、用は無いというのに」
なんだと………?それじゃあやっぱり、最初から、天王寺財閥乗っとるつもりだったのか。
共同で取り組むなんて、名ばかりだ。
「そうですね。天王寺財閥に気付かれないように、スパイを送り込むのは大変でしたし」
その言葉にあたしは目を見開いた。
スパイ?裏切り者がいるって、事だよな…?


