翌日。
「………失礼します」
あたしは、約束通り、霧夜と一緒に、東宮 繁信の書斎を訪ねた。
「ほう…君が雪城 菜智さんか?」
厳格な雰囲気をもつ繁信は、あたしに鋭い視線を向けた。
うっわ……。怖っ!!目だけで人が殺せる。久しぶりに見たな、こんな目の奴。
「はい。私が雪城 菜智です。この度は東宮へと招いて頂き、ありがとうございます」
強制的に、だけどな!!
と胸の内で文句を言って、深々と頭を下げる。
とりあえずここは信頼してもらわないと警戒がとれないからな。
「いいのだよ。君のおかげで霧夜も、やっと結婚を考えてくれるようになった。感謝しているよ」
繁信は髭を触りながら笑顔を浮かべる。
嘘くさい!!霧夜に似て、作り笑いでしか人と話せないのかよ!!
「………私も……。嬉しいですわ、東宮へと嫁げるなんて、名誉な事ですもの」
「おお、それはそうだろうな」
菜智の言葉に、繁信は急にご機嫌になり笑顔を浮かべた。
「フフッ」
霧夜は豹変したあたしを小さく笑い、面白そうにに見つめた。
「菜智さんは警視庁捜査一家のリーダの娘さんだそうだね」
繁信の目付きが変わる。
来た!!これが本題か。
繁信があたしを霧夜の婚約者として迎え入れたのは、あたしが警視庁捜査一家リーダの娘だからだ。
あわよくば、法を犯しても隠ぺい出来るようにあたしを保険として迎え入れた。
「はい」
あくまでも笑顔で、繁信を見つめる。
「息子の嫁は、私の子も同然。欲しいものは何でも与えよう」
そう言って高らかに笑う。
別にお金に困ってもいないし、結婚する気もない。勝手に話し進めんなよな…。
こうやって、人を見下して、金で何でも手入ると思ってる。
「今日は挨拶に来れて良かったです。私少し気分が悪くて…」
額を押さえて、あたしは近くの机に手をついた。
「少し休ませていただいてもいいですか?」
そう言って、繁信の机の上のパソコンを見つめる。
最新のパソコンだな、さすが金持ち…。あれにケーブルを繋げられれば…。


