「………………」
何も言わずに霧夜を見つめる。
理由は分からない。でもこいつは、優と同じような、寂しさを持っている気がした。
「お前はもう俺のモノだ。一ヶ月後には婚約する、分かったな?」
そう言って霧夜はすぐに表情を、いつもの作り笑いに変えて、あたしを見下ろした。
「…婚……約……?」
聞き間違いだろうか、何を言い出すんだ??婚約、婚約!?
「んな大事なこと、そんな簡単に決めんな!!つか、あたしはお前と婚約するつもりは…」
「今日は疲れただろう。ゆっくり休め、明日親父に会いに行く」
「!!」
親父って……東宮 繁信!!これって、チャンスじゃんか!!
「………分かった」
そう言うあたしを、霧夜は一瞬怪訝そうに見て、部屋を出て行った。
ガチャンッ
扉が閉まる音だけが響く。
「まいったな…」
一ヶ月か……それまでに何とかしないと…。
「本当に逃げられなくなる」
優………。
あたしはお前以外の人間と結婚なんかしたくない。でも、優怒ってるかな、勝手に出てったし……。
「って!!」
今はそんな事考えてる場合じゃない。やれる事をやらなきゃ。
そう自分に言い聞かせた。


