「好きな男の為か…?」

「っ!?」


え!?なんでバレて……。あたし言ったか!?どこかで口を滑らしたか!?



「ハッ、違ぇーよ!」


琢磨はあたふたするあたしの頭をポンッと撫でた。


「お前はなんも言ってねぇー」


「エ、エスパー!?」


あたしの考えてる事が筒抜けだ!!


「お前のことは、ずっと近くで見てきたからな。分かんだよ」


「え、それってストー……」

「ストーカーじゃねぇよ!!」

「ははっ!冗談だよ!」

本気で怒り出す琢磨に、あたしは笑う。


「ったく!調子くるうぜ、ったく…」


琢磨は頭をガシガシと掻きながら、あたしを恨めしそうに見つめる。



「お前の為に、動いてやるよ。だから……幸せになんねーと、許さねぇからな」


「え……?」


そう言い残して、琢磨は教室から出ていってしまう。



幸せになんねーと……か。琢磨は素直じゃないから、こんな風に変化球で優しい言葉をかけてくる。



「ありがとな、琢磨」


琢磨が出ていった教室の扉に、あたしはお礼を言った。



頑張ろう、優を守る為に。


そう、再び決意を決めて。