「行ってくる」
そう言ってあたしは制服に着替え、学校へ向かった。
まずは、仲間にも協力を得なければ、あたし一人では太刀打ちできない、そう思ったからだ。
学校へつくと、すぐに族の皆を集めて事の内容を話した。そこには、別の族の琢磨もいる。
「つー事で、東宮財閥に潜入してくる」
「……………はぁ!?」
琢磨の声が教室中に響き渡った。
「静にしろ琢磨」
キッと琢磨を睨みつけた。
そんなに驚く事か!?っていうか、なんで琢磨がそんなに驚くんだよ。
「反対です菜智さん!あなたを危ないめに合わせるわけには…」
そう言った佳奈に同意するように、琢磨も頷く。
「敵の領地でお前一人、何が出来るってんだよ!!」
佳奈、琢磨……。
そうか、あたしの事を心配してくれてたのか。
でも、どんなに危なくたって、優の為に出来ることはなんでもしたい。
好きで、好きだけじゃたりないくらいに愛してる人の為に…。
「それに、一人だからなおさら都合がいいんだ。相手も油断するからな」
その言葉に『姫龍』の幹部達は首を横に振る。
「総長、お願いです。それなら俺らも連れてってくれ!」
「総長にもしもの事があったら…」
幹部達は口々に言う。
「黙れ!!!!!」
あたしは、一言で、ざわつくこの場を静める。
「いいか?あたしは一人で戦うんじゃない。危ないと思えば
お前達の力を借りる。信頼してんだお前達を…。だから力を貸してくれ」
有無を言わさない言葉に、『姫龍』の仲間達は頭を下げた。


