「大丈夫です。私が絶対になんとかします。天王寺財閥を、優を守る事だけを考えて下さい。それがあなたの役目でしょう?」
その言葉に豊さんはしばらく何かを考え込み、そしてゆっくりと頷いた。
「…そうだな。ありがとう菜智さん、おかげで大事な事を思い出したよ」
そう言って豊さんは笑みを浮かべる。
「力を貸して欲しい。今は、菜智さんだけが頼りだ」
「もちろんです」
そうしてあたしの東宮行きが決まった。
こんな事…。優が知ったら、怒るんだろうな。
苦笑いを浮かべて、優を見つめる。その頬にそっと触れた。
「もう…朝だぞ…?」
小さい声で呟く。
「愛してる、優……」
チュッ
額に口づけて、そっと体を離した。


