総長様、プリンセス修行始めました!

「……んんっ!」

唇を割って、何か温かいモノが入ってくる。


経験した事の無いキスに、思考なんて働かなかった。ただ求められるままに、応えた。


優の手がドレスの中へと入ってくる。


ビクッ

その手の感触に、痺れるような甘さを感じた。



大好きな人、彼に求められる事は嬉しい。でも……この行為に…愛はないのかもしれない。


優の不安を埋めてあげたい、そう思ってても、それが無償に悲しかった。


「…っふ…ぐすっ…んっ……ぁ…」


悲しい快感と、こぼれる涙。


ただ……愛されたい。優に……愛されたかった。


「菜……智……?」


泣いているあたしを、優は目を見開いて見つめる。


「………な…んだ…?どうし…た…」


涙を拭いもせず、優を見上げる。声は震えていた。


これ以上話したら、泣きわめくかもしれない。


「…………ごめん…。俺が……泣かせた…」


そう言って優は、あたしを抱きしめた。壊れ物を扱うように
優しく……。


「…………馬鹿野郎…謝るな……」


そう言って優を抱きしめ返す。


乱れた服も直さず、ただ抱き合った。