「………………菜智ごめんね…」
そう言って優はすがるようにあたしに抱きついてきた。
優、やっぱり悔しいよな。父親の決めたことだからって、ただ、言いなりになるしかないなんて…。
あたしと優はパーティーの途中で帰ってきた。とてもじゃないけど、出席出来るような心境じゃない。
あたしの部屋のベッドに二人で腰かける。
「なんでお前が謝る。優は何も悪くないだろ」
そう言って優を抱きしめ返した。
いつもなら殴っているところだが、今日は少しでも優を安心させたかった。
なんというか……。何も出来ない自分が、嫌になる
「大丈夫だ。お前の傍にいてやる」
それくらいしか、あたしには出来ない。
この力も強さも、優の為に使いたい。なのに、今の優に、あたしは何をしてあげれば……。
「…………菜智……傍にいてくれ…」
そう言って優はあたしに口づけた。
最初は触れるだけのキス。それからだんだんと深く啄むように口づけた。
まるで不安を忘れようと、縋り付く子供のように。それがわかっていたから、拒んだりはしなかった。
優は唇を合わせたまま、あたしをベッドに押し倒す。


