「菜智、どうしたの?」
優は不思議そうにあたしに歩み寄る。あたしは優の耳元に顔を近付けた。
「…今すぐ皆を連れてここから離れろ」
そう言ってあたしは、ニコッと笑う。
「生け花は良いですわね。心も洗われるようですわ、ほほほっ…」
まるで、庭でも眺めるかのように、もう一度草村に視線を向けた。
まだいる……。狙いは、ここを離れた紀美代さん以外。ならば……。
天王寺財閥の御曹司の優が狙いの可能性も高い。
「……菜智…それは…」
そう言いかけた優の唇に人差し指をそえる。
「静かに。鳥の囀りが……聞こえませんわ」
ーガサッ。
また草村が揺れる。


