ーギシッ。 ベッドのスプリングが妖しく響く。優は覆いかぶさるように菜智を見下ろした。 「ねぇ……なんで、俺には笑いかけてくれないの?」 …朔には…。あんなに笑顔を見せるくせに。俺には見せないあんな笑顔…。 「朔の事………」 そう言いかけて止める。口に出してしまったら、それを認めてしまう事になる。 「………どうして……手に入らない…」 今まで欲しい物なら何でも手に入った。金、地位、女……。手に入らない物なんて初めてだ。 「…お前が欲しい…」 優はそう呟いて、菜智に優しく口づけた。