ーガサッ…シュッ…。
着物の帯を解きながらも、頭の中は優の事ばかりだ。
なんで何も言ってくれないの……。いきなり怒ったあたしに呆れたか…?
思い当たる節がありすぎて、どれが理由か分からない。
「…………情けない。天下の『姫龍』総長がこのザマか…」
ため息をついてベッドに横になる。
着物の脱ぎ方も分からないし…。
「どうしたものか…な…」
ベッドに横になった瞬間、物凄い眠気に襲われる。そのままあたしは、眠ってしまった。
ー優sideー
ーガチャン。
「……菜智〜?」
優は怖ず怖ずと、扉を開ける。
そこには着崩れた着物を着たまま眠る、菜智の姿があった。
「……全く……。このまま寝たら、駄目だよ……」
そう言って優は、ベッドで眠る菜智を愛しそうに見つめる。
「着物は繊細なんだ…。保管の仕方が大事で…」
そう言って優は菜智の髪を解く。
その髪を少し掴んで唇を寄せた。
「着物を脱ぐ時は、着た時の反対に正確に脱がないと…」
そう言ってクスッと笑う。


