「誰にも負けない。あいつの一番になってやる。朔、力を貸してくれ」
あたしの言葉に、朔は頷いた。
「もちろんですよ。……私で役に立てるのなら喜んで」
朔と話しているうちに天王寺財閥の豪邸の前に着いていた。
「悪いなわざわざ、助かった」
そう言って笑顔を浮かべと、朔も笑顔を返してくれた。
「悪いなんて言わないで下さい。私は菜智さんの話せて、楽しかったのですから」
そう言って朔は笑顔を返した。
「…………菜智?」
二人で微笑み合っていると、誰かに名前を呼ばれた。振り返ると、車から降りた優が驚いた顔でこっちを見ている。
「………………優…」
先程の事があってか、顔を合わせるのが気まずい。思わず朔を見上げて、助けを求めた。


