平凡な日々は続く。

バレンタインは上司に義理チョコ。
平野課長には2000円のブランドチョコをこっそり渡した。

欲しいって言われたから……渡しました。

「ありがとう」って喜んでくれたけど、常務のお嬢さんからはもっとスゴイのもらってるんだろうな。
お見合いっていつだったんだろ。
もう終わってるよね。あ……ちょっとまだ泣けるのはナゼでしょう。頑張れ自分。

私は顔も変えず
実家にも帰らず
仕事も辞めず

まぁお金はガンガン使って、念願のハワイとか行ったけど
次の願いも決めないで
死神とDVDを見て平和な毎日を過ごしていた。

もう2月も終わってしまう。

これじゃぁ時間のムダ使い。

何とかしなきゃ。



そんな日々を過ごしながら

ある朝、マンションから出た所で

「土屋さん?」って声を掛けられて心臓がドキリとする。

「え?本当に土屋さん?ここ?この高級マンションに住んでるの?」

平野課長は驚いて、私とイヤラシイマンションを見比べていた。

うわーバレた?マズい。
誰にもバレてないのに。こんな趣味の悪いマンション。超恥ずかしいっ!
しかも平野課長にバレるとは。

「すごいね。土屋さんってお金持ちのお嬢様なんだ」

「いえ、その……内緒にして下さいね」

必死にお願いすると、平野課長は「どーしよーかなー」って楽しそうに私をからかった。