すると再びまわりがざわめき出した。

「え…どういうこと?」

「彼氏…って言った?」

「え、兄と妹どっちの?」

…どっちのって…

「ちょ、おい久瀬…」

「ああ、なんだよ?」

話しかけてきたクラスメイトにそう答える。

「あのさ、さっき聞こえたんだけど、
久瀬って彼女できたのか?」

彼女、か。

なんか…いい響き。

「…久瀬、にやけてる」

「…ん」

顔を引き締めた俺に和樹はうむ、というふうに頷いて

俺は再び向きなおる。

「いるけど」