「…大丈夫か?」

先に声を出したのは久瀬君で。

「あ、ありがとう。ごめんね、ちょっとぶつかっちゃって」

「いや…
それより、日曜のこと悪かった」

あ…

私が勝手に帰っちゃっただけなのに。

「う、ううん。
…あ、私今日早く帰らなきゃいけないの」

久瀬君とは今は話したくなくて。

うっかりなにかを口走ってしまいそうで。

そんな気持ちから早口でそう言う。

「っ…下梶、話が…「ごめん、ほんとに急いでるの」

そう言ってその場から早く立ち去ろうとしたとき、

「皐月ー?あれ、どこだろ」

そんな結奈ちゃんの声が聞こえて、

半分泣きそうになりながら、

同時にそんな泣き虫な自分に呆れながら

なんとか久瀬君に笑顔を見せる。

「ほら、結奈ちゃん呼んでるし…わっ!?」

喋っている途中で急に久瀬君に手を取られ、

ドクンドクンと心臓が早鐘のように鳴る。