私には貴方だけ


「さっ、乗って乗って」



「お邪魔します」



海季先輩に背中を押されて車に乗り込む。



「出せ」



「はい」



怜夜様の合図で車が走り出す。



運転手さんも前回と同じ人だ。







「着きました。」



車を降りると、目の前に建っている廃墟ビル。



前回みたいにタバコの臭いはしない。



「アラン、合格か?」



お兄様が聞くと



「……あぁ。」



気にくわなそうな顔をしたアランが合格と言う。