私には貴方だけ



「お久しぶりです、怜夜様。」



一礼をし、挨拶をする。



でも、私の記憶の中にある怜夜様の髪色は金色ではなく黒だったはず……



「怜夜様、外国の方でしたっけ?」



「「「はっ?」」」



私が呟くと、声を揃えて驚くお兄様達。



「だって、私の記憶の中にある怜夜様の髪は黒色でした。
人の髪の色は変えられないはずですわ。」



だってそうでしょう?


髪の色を変えるなんて……



「お嬢様、人間、髪の色は自由自在に変えることが出来ます。」



……出来るらしい。



「そうなのですか……」



それは驚きました。



「怜夜様、それは失礼致しました。」



謝罪をするべく頭を下げる。



「別に謝ることじゃない。
人間、知らない事はたくさんあるんだ。頭上げろ。姫奈。」



頭を上げると、私の頭を撫でようと手を伸ばした怜夜様。