私には貴方だけ


「姫奈、いつ帰って来たんだ?」


アランと話している時とは真逆の、とても優しい声で私に話しかける金髪の人。



「2週間前です。質問に答えたので貴方も答えて下さい。
どうして私の名前を知っているんですか?」



私だけ知らないのはなんか気持ち悪い。



「……覚えてないのか?」




キョトンとしている金髪の人。



「姫奈、怜夜だよ。霧野怜夜。覚えてる?」



お兄様がフォローして下さった。



「霧野怜夜……」



記憶の端から霧野怜夜という名前を引っ張り出す。




「あっ!怜夜様!」



「やっと思い出したか、姫奈。久しぶりだな。」



私が名前を呼ぶと、安心したような顔をする金髪の人、もとい怜夜様。