私には貴方だけ


立て直した車椅子に姫奈を抱き上げ乗せた看護師さん。





「これでもう大丈夫よ。」






「ありがとうございました。」






俺は泣きそうになったのを堪えて看護師さんに頭を下げる。






「頭を上げて?今日はもう病室に戻った方がいいわよ?」







「わかりました。」







そう言って一緒にいた老人の方へ戻っていった看護師さん。






何も出来なかった自分が、いかに無力かを痛感した。







「姫奈ごめん……」