私には貴方だけ


「希沙ー、どうしたんだー?」



すると、中からまた男の人の声が聞こえてきた。



こちらに向かってきている。



「あ、真白。この子が真白に会いたいって……」



そして出てきたのは



「お兄様……」



「…………姫奈?」




私と同じハニーブラウンの髪に、最後に会った時よりも伸びた背、低くなった声。



お兄様との唯一の繋がりである髪の色で、変わっていてもお兄様だとすぐに分かる。



「あれ?知り合いだったの?」



不思議そうな男の人を横切って、



「姫奈!姫奈なのか!?」



私の肩を掴み、顔を覗くお兄様。




「はい。お久しぶりです、お兄様」




軽く微笑むと、


「おかえり、姫奈。よく頑張ったな。
でもお前、脚……」




私をフワリと抱き締めるお兄様。