枕草子では、中宮定子と清少納言の思い出が綴られています。

これは、定子の死後に書かれたものです。

しかし、作中に過去を表す文法は使用されておりません。

晩年、不幸が続いた定子。

清少納言は敢えて、過去を示す文法を使わなかったのではないでしょうか。

“あの時は”楽しかったね。

幸せな思い出と、不幸を比べたくなかった。

清少納言の繊細な、心遣いではないでしょうか。




いつの日か、「楽しかった」と語れる思い出がたくさんできますように。

2016/01/10

りーふぁ