「はぁ?!」

こうなるのが当たり前だ。


言っちゃ悪いが、俺は優奈より頭はいいし、いきなりバカと言われても困る。



「あんたねぇ、気づいてないかもしれないけど、モテるのよ?」

「まぁ、お前ほどではないけど、時々告られるな。」

ため息混じりにそう言われた。



心当たりはあるっちゃ、ある。


この前同じ日に、年下の子2人から告られたのはちょっとびびったな。



「ちょっとじゃないでしょ。蒼汰が知らないだけで、結構いるんだから!」

あれ?


いつの間に、俺なんで怒られてんだ?



いきなりバカって言ったと思ったら、次はモテるって言ってきて、意味わかんね。



「意外とかっこいんだから。」

意外とってなんだよ。


ちょっと失礼だぞ。



掴んでない方の手でネクタイをグッと引っ張られる。



「そんな襟元パタパタするな、あとボタンも開けるな。女子が凝視してんだけど。」

ボタンは暑いから仕方ないだろ。


それに女子が凝視って、んなわけない。



また襟元をパタパタしながら周りを見ると、数人の女子がこっちを見ていた。


目を合わせると顔を赤くして反対を向く。



……まじか。



てか、何でそんな事わざわざ言うんだ?



「男子だけでも面倒いのに、あんたの近くいたら女子の視線まで感じるのよ。」

俺だって、男子の視線やべぇよ。



まだ腕は掴まれたまま。


突き刺さる様な視線を浴びながら優奈の話を聞いている。




「私よりモテたら許さないから。」


落ちた髪を耳にかける。



少し紅潮した頬で、冗談っぽく笑って見せた。