「それだけガタイが違うと、なかなか難しいだろう。大方、
 “キャームリムリっ!大っきすぎるぅっ”
とでも言われたんだろうな…カワイソウに」

 大真面目に声色を真似る大神に、熊野はプルプルと肩を震わせて____

 ダンッ!!

 大神のキーボードの上に両掌を叩きつけた。

 画面に妙な文字が羅列する…

「あーー!!何すんだお前、データがっ」
「フザけるな!
 いいか、よーく聞け?
 あの子にはな、他に好きな奴がいるんだよっ」

 叫ぶと熊野は、自分の手の甲に視線を落とした。

「トーコちゃんはな、大神。お前の事が好きなんだ」
「…………」
 大神が黙ったままでいるので、熊野は続けた。

「でもな。
 彼女、まだ自分でそれを分かってないんだよ。だからオマエ……って、おいっ」
 
 熊野は、キーボードを手の下から懸命に抜き出そうとしている大神を睨んだ。

「聞けよ大神、
 何とか言ったらどうなんだっ!?
 お前だって、彼女がいいって言ってただろ?」