君に最初で最後の愛を


「はぁぁやぁああくぅぅうう!」


「ま、待って〜、速いっ!」



あまり走れないあたしと違って全力で走れる蘭を羨ましく思う。



...蘭にはこの病気のことは言っていない。



まだ友だちになったばかりだし、もし仮にこのことを言ったとして離れて行ったら...。



だったら言わないでそのままサヨナラのほうがいいよね。



もうあたしも永くないんだし。



あたしのことなんて......すぐ忘れる。



今は夏。8月下旬。



その1年半後、あたしはここには居ない。



卒業すらできないんだ......。



どんどん離れていく蘭に、急に死が近づいていってる感覚に陥った。